
タンタンタンゴはパパふたり
この絵本を買ったきっかけは、ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』という本。ブレイディみかこさんが、この絵本を働いていた保育園で読んでいるお話が素敵だったので、気になって購入しました。
この絵本を購入した当時、長男はまだ1歳にもなっていませんでした。「いつか子どもに読みたいな」と絵本棚で温めていましたが、今では子どもたちのお気に入りの本のひとつになっています!
作品紹介
どんな絵本?
ロイとシロのおすペンギンは、いつからかお互いに気に入り、カップルになりました。一緒に泳いで一緒に巣づくりして、いつも一緒にいました。
ところが、他のカップルは、ただ一緒にいるだけでなく、どうやら巣の中で何かをあたためている模様。しかもそうこうしているうちにそのあたためたものがかえって赤ちゃんペンギンが誕生しているではありませんか。
ロイとシロは、近くにあった卵の形をした石を拾ってきて、さっそく毎日毎日交替であたためはじめました。でも石のたまごはちっともかえりません。
そんな様子を眺めていた飼育員がはたと思いつきます。
他のペンギンカップルが育てられなかったたまごをそっとふたりの巣においてやります。そして、ふたりにしっかりあたためられた卵から、タンゴが生まれたのです──。絵本ナビより引用
ニューヨークのセントラル・パークにある動物園で実際にあった話を絵本にしたものです。ロイとシロが仲良く、そして大切そうにたまごをあたためる姿や、たまごから赤ちゃん”タンゴ”が生まれて幸せそうな様子に、心温まるお話です。
多様性を感じられる絵本
動物園に暮らすオスのペンギンのカップル、ロイとシロが協力して卵をあたため、タンゴを育てるという実話をもとに描かれているこの絵本。絵本を通して、子どもたちに「家族にはいろいろなかたちがある」「家族はそれぞれ違っているものだ」ということを自然に伝えられますね。
『家族』と聞いて思い浮かべるのは、どんな家族ですか?家族はいろいろな形があるとわかっていても、私自身、最初に思い浮かべた家族は、”パパとママと子ども”でした。この絵本は、子どもに“いろんな家族がある”ことを伝えるだけでなく、大人自身が持っている“家族ってこういうもの”という無意識の思い込みに気がつくきっかけにもなるのではないでしょうか。
子どもと読んでみました!
子どもの反応
この絵本は、5歳の長男も2歳半の次男も絵本棚から、「この絵本読んで~」と持ってくるお気に入りの絵本のひとつです。長男も次男も、物語として絵本を楽しみ、最後まで聞いてくれます。次男は、「ペンギンだぁ~」と言いながら自分で楽しくページをめくり、一人で読む姿もありました。
実際に子どもと読んでみて、物語として楽しむには3歳~4歳以降がちょうどよいのでは、私は感じました。ただ、動物やペンギンの可愛らしい絵がたくさん出てくるので、ページをめくって見ているだけでも楽しく、次男もひとりで楽しんでいます。
長男は、男の子ペンギン同士のカップルだからといって、それに言及するわけでもなく…ペンギンがたまごをあたためている様子や、赤ちゃんが生まれるシーンを興味深そうに見ている印象を受けました。
私の感想
「いろんな家族のかたちがあるんだよ」「いろんな性のかたちがあるんだよ」ということを知ってほしいという気持ちでこの本を絵本棚に置いていますが、わが子たちは気にも留めていない様子…ペンギンがたまごから生まれる様子や、ペンギンいっぱい!とペンギンの数を数えるなどして物語以外のところまで堪能しています。
素直で思い込みや偏見のない乳幼児期から、多様な生き方や関係性があることに触れる。日常生活であまり触れることがないことだからこそ、遊びのひとつである絵本を通して、子どもたちにも多様性について知っていてほしいなと思っています。これは包括的性教育が大切にする、権利を尊重すること、お互いを理解し合うことにも深く結びついていると感じています。
そして、私自身の ”こうあるべき” や ”普通” について見つめ直す機会にもなりました。この絵本を子どもと一緒に読むことで、大人の私も「いろんな家族のかたちがあるんだよね、いろんな性のかたちがあるんだよね」とゆっくり、そして自然に受け入れていけるのかなぁと感じます。
まとめ
家族のかたちはひとつではないことを、子どもにも大人にもやさしく教えてくれる絵本です。知らないからこそ生まれる偏見や思い込み…家族だけにとどまらず、多様なあり方を知ることで、お互いを理解しようとできる。それは、自分や相手を大切にすることにつながります。
まだ出会ったことのない価値観や生き方に、やさしく触れることができるのは絵本のいいところ!子どもにとっても大人にとっても、新しい世界を広げてくれるきっかけになります。ぜひ、家族みんなで読んでみてくださいね♪

今回、ご紹介した絵本『タンタンタンゴはパパふたり』