
はじめにきいてね、こちょこちょモンキー!
今回ご紹介するのは、『はじめにきいてね、こちょこちょモンキー!』という絵本。”同意と境界線”について、子どもにもわかりやすく伝えてくれます。楽しい物語の中で、「してもいい?」と聞くことや、自分の気持ちを伝えることの大切さを、一緒に考えるきっかけになりますよ。
作品紹介
どんな絵本?
くすぐるのが得意なこちょこちょモンキーは、いつもみんなを笑わせている。でもある日、「くすぐらないで!」と友だちに言われて、みんなの気持ちを聞いてみる。これからどうしたらいいかを考えて、モンキーが出した答えは?
絵本ナビより引用
こちょこちょするのが得意なこちょこちょモンキーが登場します。こちょこちょモンキーが、友だちの動物たちにこちょこちょ…すると、やめて!と友だちに言われてしまいます。こちょこちょモンキーは、そんなはずない、みんなくすぐってほしいはず…と思い、みんなの気持ちを聞いてみます。
友だちがそれぞれ自分の気持ちを伝えると、こちょこちょモンキーは、みんなくすぐってほしいと思っていたけれど、ちがう…ということに気が付きます。じゃあ、どうすれば誰がくすぐってほしいか、くすぐってほしくないかわかるんだろう?
そうだ!はじめにきけばいいんだ!とこちょこちょモンキー。おわびのしるしに、ハグしていい?とはじめに聞くことができ、友だちの動物たちも自分の気持ちをモンキーにしっかり伝えられていましたよ。
同意と境界線について学べます
絵本を読んでいると、こちょこちょをされて、うれしい、楽しいと思う人ばかりではないことがわかります。された相手がどう感じているかは、その人にしかわかりません。笑っているからといって、いいよということではない。やめて!と言いたくても、言えないこともあります。
いいよと思うことといやだよと思うことは、人によって違います。じゃあ、どうしたら相手が何をしてほしいかわかるのか…?こちょこちょモンキーが気づいたように、相手に聞くのがいちばんです!
自分がいいよと思うことといやだよと思うことの間を分ける見えない線のようなものを、”境界線(バウンダリー)”といいます。この境界線は人によって違うので、相手に何かしたいときには、~していい?と聞けばよいですね。これが、”同意をとる”ということです。
自分のからだは自分だけの大切なもの。自分のからだとこころを守るために、そして、相手のからだとこころを守るためにも、同意と境界線について知っておくことはとても大切なことです。
でも、知っているだけでは足りない。同意をとること、自分の気持ちを伝えること、相手の気持ちを尊重することは、子どもたちが、安全で安心できる人間関係を築くために大切なスキルです。これらは、一朝一夕で身につくものではなく、小さい頃から繰り返し伝えて、経験を積み重ねる必要があると感じています。
”同意と境界線”について…小さい頃から伝えたい大切なことですが、乳幼児期の子どもに言葉だけで伝えるには少し難しい気も…そんなときには絵本の力を借りるのはどうでしょうか。この絵本は、同意と境界線について子どもにわかりやすく伝えるのにぴったりの1冊ですよ♪
子どもと読んでみました!
子どもの反応
長男が5歳、次男が2歳半のころから、自宅で読み聞かせをしています。巻末の「保護者と子どもの世話をする方へのガイド」には、子どもと話をするためのヒントとして、質問がたくさん書かれていますよ。
子どもたちと読むときには、時々子どもたちに「ヤギさんは、どう思っているのかな?」「じゃあ、こちょこちょモンキーはどうしたらいいと思う?」と質問しながら読んでいます。子どもたちも(特に長男は)、「いやだとおもう!」「きけばいいんだよ!」「うーん、わかんない!」など思ったことを素直に答えてくれました。
気をつけるようになったこと
絵本を読んで、改めて同意と境界線を意識した関わりが大切だと感じます。子どもとの関わりや声掛けなど、この絵本から学ぶことがありました。私が子どもとの関わりで意識していることを、以下に挙げたいと思います。
相手がいやだと言ったらやめる
わが家の子どもたち、家で走り回ったり、戦いごっこをしたり、楽しそうに遊ぶことがあります。ヒートアップすると、もう見てられん!となるくらい。特に長男は手や足が出たり、押したり、乗ったり、投げたり…次男のやめても聞こえない、三男の嫌がるそぶりにも気が付かない、手加減なしという感じ…
今までは「そんなん自分もされたら嫌やろ!」と諭していたのですが、この絵本を読むとハッとしますね。自分がされて嫌だからしないのではなく、相手がいやだと言っているからやめる。
パパも長男を諭すときに、「自分がされて嫌なことは人にしない」とよく言っていたのですが、私が「いやって言われたらすぐやめるねんで!」と言っているのを聞いていたのか、最近言わなくなりましたね。もちろん自分がされて嫌なことをするのはあかん!それだけでなく、相手の境界線を大切にすることを子どもたちに知ってほしいなと思い、声のかけ方に気をつけています。
子どもが嫌だと言えるように
絵本の中で、こちょこちょモンキーがカエルさんをくすぐったとき、カエルさんはやめてと言えませんでした。カエルさんは、こちょこちょモンキーに「きみは、カエルよりずっととおおきいんだ!イヤだっていったら、きいてくれた?」と伝えます。
これも、ハッとしました。私も子どもが言うことを聞いてくれない(子どもに言うことを聞かせたい)ときに、「~しないなら、ママ~しないからね!」と言ってしまうときがあります。例えば、これしないと、ごはん抜きやで!と言われたら、子どもは言うことを聞くしかないですよね。
力を持っている人に、いやだ、やめては言いにくい。親子であれば、親が力を持っています。それを意識して関わらないと、無理やり同意をさせる、YESと言わせる場面が出てきてしまいます。
子どもが心からNOと言えるようにするためにも、まずは、自分が力を持つ側であることを忘れず、対等な関係でいられるように気をつけています。力づくでYESと言わせようとしていないか、大人の都合で言っていないか…意識するようになりました。
代替案を提示する
こちょこちょモンキーがおわびのハグをしていいかライオンくんに聞いたときに、ライオンくんは、「ハグのかわりに、あとでおいかけっここちょこちょ、しようよ。」と言います。答えはNOなんだけど、これはどう?と伝える。NOと言われたけれど、自分のことを受け入れてもらえた気持ちになる、やさしい伝え方だなぁと感じました。
次男がスキンシップを求めて脇を触ってくるときに、それはもうめちゃくちゃ不快なので、「もう、やめてよ!」と大きな声を出してしまいます…(大抵寝かし付けのときで。私も長男と次男に挟まれて二人からあれしてこれしてと言われて、イライラしがち)
「脇を触られるのは嫌なんだ、代わりにママがトントンするのは?ぎゅーは?」と伝えられるときもあるんですが…まぁ、10回に1回できたらいいほうで。やめてよ!と大きな声で言われたら、次男も悲しいよね…ごめんね…とこれまたブログを書きながら反省しています。
NOは自分を守るための大切な言葉ですが、伝え方も大切だと思っています。あなたのことが嫌いということではない、ただそれをするのが嫌なんだ、と伝わるような伝え方を心がけたいと思っています。
さいごに
同意や境界線は、安心できる人間関係をつくるための土台です。ただ単に知っているからといって、日々のやり取りで相手の境界線を尊重した関わりができるようになるわけではありません。身に着くまでに時間がかかるものです。
だからこそ、小さい頃から繰り返し伝えたい大切なこと。絵本を通して「相手に聞く」「自分の気持ちを伝える」ことを親子で楽しく練習して、日々の生活で子どもたちと実践したいなと思います。大人の私たちが意識を変えるチャンスにもなるはず!ぜひ、家族みんなで読んでみてください。

今回、ご紹介した絵本『はじめにきいてね、こちょこちょモンキー!』