からだっていいなを育む
今日は、「からだっていいな」と思える感覚について綴りたいと思います。前半は、私自身がずっと悩んできた(悩んでいる)PMSの話を。そして後半は、ちょっとびっくりされるかもしれませんが…うんちの話です。ちょっと不思議な組み合わせかもしれませんが、この2つには、私が性教育で大切にしたいと思っていることが詰まっています。
PMSで悩んでいた学生時代
「なくなればいいのに」と思っていた月経
私が性教育に関わりたいと思ったきっかけの一つに、自分自身が月経前症候群(PMS)に悩んでいた(今も悩んでいるのですが…)経験があります。月経の10日〜1週間くらい前から、イライラしたり、気分が落ちたり、何もする気が起きなかったり。お腹は空いていないのになぜか食べたくなってしまうような…止まらない食欲もあります。
中学生の頃に、月経前にイライラしていると、家族から「また始まった」「生理前かよ」と言われることがありました。自分でもイライラをコントロールできず、どうしようもなくて余計しんどいのに、さらに責められているような感覚になって、もっと辛くなる。そんな負のループの中にいました。そんなこともあり、当時の私は、月経に対してよいいイメージを持てていませんでした。
私は生理痛はほとんどありませんでしたが、経血が漏れないか心配だったり、部活を思いきりできなかったりと、月経中の不快さもありました。PMSと月経中を合わせると、月の半分くらいが「なんだかしんどい」「イケてない」と感じる時間。だからこそ、「生理なんてなくなればいいのに」と思うことがありました。
知ることで変わった、からだの捉え方
そんな私の考えが変わったのは、看護学生の頃です。大学4年生でゼミを選ぶときに、月経について学びを深めたい!卒業研究をしたい!と思い、産婦人科の先生のゼミに入りました。そこで、月経の仕組みや体のメカニズムについて学ぶ機会がありました。
PMSの原因はまだはっきりとわかっていないと言われていますが、排卵期から月経までの間の女性ホルモンの変動が関与しているといわれています。排卵による女性ホルモンの低下や、それに伴って気分を安定させたり不安な気持ちを取り除いたりする神経伝達物質がうまく働かなくなることなど、さまざまな要素が関わる複雑なメカニズムによって引き起こされると考えられています。
そうか!そうか!これが理由で私が辛いと思う症状が起きているんだ!でも、そのホルモンの変化は月経を引き起こす正常なからだの働きなんだ!とわかると、「PMSはしんどくて辛いけど、この体の働きには意味がある」「イライラしている私が悪いというより、からだの働きの影響なんだ」と思えるようになりました。そうすると自分自身の身体の捉え方が変わってきて、なくなればいいのにと思っていた月経も、私がからだがよく働いている証拠なんだなと思えるときが増えました。
今でも、月経前はどうしようもなくイライラして、そんな自分が嫌で仕方なくなります。でも、「なんでこんなにしんどいの?」ではなく、「月経前やから、今月もホルモン変動してますわ」と思える。それだけで、少し気が楽になることもあります。(もちろん、うまく対処できずに、パートナーや子どもたちにイライラをぶつけてしまうこともありますが…)
私は月経について学び、「からだってよくできてるなぁ」と思えるようになりました。なくなればいいのにと思っていた月経も、ポジティブな感覚とまではいかないけれど、「大事だよね~」と受け止められるようになっています。
そしてこの経験から、私が性教育の中で大切にしたいと思うようになったのが、「からだっていいな」と思える感覚を育むことです。月経に関していうと、かつての私のように、「なくなればいいのに」と思いながら過ごすのではなく、自分の体を少しでも前向きに受け止められる人が増えてほしい。その感覚は、きっと大きくなってからではなく、小さい頃からの関わりの中で育めるものなんじゃないかな、と感じています。
うんちで伝える『からだっていいな』という感覚
うんちのときの声掛け
では実際に、私が子どもたちと関わる中で大切にしていることは何か。それは、特別なことではなく、本当に日常の中の、子育ての中での関わりです。その一つが、「排泄」のこと、うんちの話です。
うんちって、どうしても「汚い」「臭いもの」として扱われがちですよね。でも、もしうんちが出なかったらどうなるでしょうか。体の中に溜まり続けると、どんどん苦しくなってしまう。うんちが出るというのは、食べたものから栄養を吸収して、不要なものを外に出すという、体にとってとても大切な働きです。そして、うんちが出たときって、すごくスッキリしませんか?あの「気持ちいい」という感覚。私たちも感じていると思います。
私は子どもたちに、うんちが出たときに「スッキリしたね」「気持ちよかったね」と声をかけるようにしています。おむつを替えるときには、どんなうんちがでたかなと一緒に観察しながら、「めっちゃいいバナナうんちやなぁ」とか「ちょっとコロコロやからお野菜食べたらもっといいうんちになるなぁ」とか。
これは、小児科クリニックで働いていたときの経験がきっかけです。便秘で受診したお子さんに対して、先生が保護者の方に「うんちが出たら、よかったね、すっきりしたねって声をかけてあげてくださいね」と伝えていたのが、とても印象に残っていました。便秘の子どもは、うんちをすることに「痛い」「怖い」というイメージを持っています。だからこそ、「うんちが出ると気持ちいいものなんだ」とポジティブに感じられるように関わることが大切だと。とても大切なことだと、私は子どもを出産してから今までずっと大事にしています。
日常の中で育つ、「からだっていいな」
もちろん、子どもたちもうんちを「臭い!」と言うことはあります。兄弟同士で「うんち臭いからあっち行って!」なんて言うことも日常茶飯事です。それでも、その都度「うんちはみんな臭いんだよ」「うんちが出るって大事なことなんだよ」と伝え続けています。
どんな言葉で伝えるか、子どもへの声掛けは、絵本から学んでいることが多いです。なので、絵本を1冊ご紹介したいと思います。
私のおすすめはいもとようこさんの『うんち』という絵本。ありのうんち、ぞうのうんち、かたつむりのうんち、あおむしのうんち…といろんなうんちがでてきて、色や大きさはちがうけど、みんなうんちをするんだね。元気な子は元気なうんちをする。という小さな子向けの絵本ですが、うんちはみんなするもんだ!元気なうんちが出るといいよね!と思える絵本です。
排泄に関わること、そして性器まわりのことは、「恥ずかしい」「汚い」とされやすい部分でもあります。でも排泄は、体にとって欠かせない大切な働きです。それをどう伝えるか。どんな言葉をかけるか。その積み重ねが、子どもたちの「からだの感じ方」をつくっていくのではないかと思っています。「汚い」「恥ずかしい」とするのではなく、「大切だね」「よくできてるね」「おもしろいね」と伝えていく。そういう関わりの中で、「からだっていいな」というポジティブなからだ観が、少しずつ育まれるのではないでしょうか。
自分のからだを、いいなと思えること。面白いな、不思議だな、よくできているなと感じられること。それはきっと、自分を大切にすることにもつながっていくと思っています。子どもたちがそんなふうに、自分のからだと付き合っていけるように。これからも、日常の中でできる関わりを大切にしていきたいなと思います。








