赤ちゃんはどこからくるの?
「赤ちゃんはどこからくるの?」と子どもに聞かれた経験はありませんか?また、ご自身もこの質問をしたことがあるのではないでしょうか。親やお友達のお母さんの妊娠・出産に触れたときなどに、子どもから自然に出てくる疑問です。
この質問をされたら、「なんで急にそんなこと聞くの」と思ってしまう方もいるかもしれません。十分な性教育を受けてこなかった私のような大人は、性にまつわる質問をされると戸惑いがあるのも無理はないように思います。しかし、この質問は子どもの様々な「なんで」という疑問のうちのひとつに過ぎません。
このような質問を子どもにされたときに、どのように答えたらいいのか…性にまつわる話をするときのポイントをご紹介しながら、一緒に考えたいと思います♪
質問に答える前に…
自分の性に対する考えやイメージを見つめ直す
「赤ちゃんはどこからくるの?」と聞かれたとき、子どもに正しい説明をしようと思うと、月経や射精、受精、性交の話をする必要がありますね。どうでしょう、みなさんは伝えられそうですか?
月経の話や性交の話を子どもに伝えるのに、恥ずかしさや抵抗感がある人もいると思います。そう思うことは決して悪いことではありません。ここで改めて考えたいのが、どうして恥ずかしさや抵抗感を感じるのか、ということ。自分が性に対してどのような考えやイメージを持っているのかということを、今一度考えてみてください。
私は、大学で看護学を学び、月経をテーマに卒業研究を行いました。学ぶ機会があったので、月経は自分の健康の指標になるものだとポジティブに受け入れられるようになりましたが、それまでは月経にネガティブなイメージを持っていました…
また、私は4人兄弟の上から2番目女の子一人(兄私弟弟)ということがあってか、他の兄弟に比べて親からパートナーができることや夜の外出など厳しく言われていました。そこに、私の安全を心配している親の気持ちを感じてはいましたが、やはりお付き合いをすることやもっと親密になりたいと思うことに、よくないことのような考えを持っていたように思います。
私が受けてきた性に関する教育のなかに、いのちの誕生などの話もありましたが、多くが性感染症に罹るとどうなるか、望まない妊娠をするとどうなるか、といったリスクを提示して怖がらせる内容だったように思います。みなさんは、いかがでしょうか…?
私が性教育を学びはじめて知ったのは、性教育は自分が自分らしく健康で安全に幸せに生きていくためのものだということ。私は子どもたちに、自分らしく生きてほしいですし、自分のことも周りの人のことも大切にできるようになってほしい、いろんな願いを持っています。
性教育を行うときに、恥ずかしさや抵抗感がある方もいらっしゃるかと思います。家庭で子どもに性について伝えるのは何のためか、子どもにどのようになってほしいのか、私たち大人にどんな手助けができるのか、それを性に対する自身の考えやイメージと共に改めて向き合うのが大切だと思っています。
何でも話せる親子関係を作る
子どもに急に性にまつわる質問をされたら、ドキッとしてしまうことがあると思います。思わず「そんなこと知らなくていい!」と言ってしまいたくなるかもしれません。でも、この最初の反応がとても重要になります。
ここで「そんなこと知らなくていい!」と言われた子どもはどう感じるでしょう…。否定的な態度をとられたら、聞いてはいけないことなんだと思い、今後性について尋ねることがなくなってしまうかもしれないのです。
子どもに何か困ったことや心配や不安があるとき、まず私やパパ、信頼できる人に話してほしい。そのためにも、何でも聞ける雰囲気を作ること、何でも話せる親子関係を築くことは、性についての話に限らず子育てにおいても大切なことだと思ってます。
わが子たちはまだ4歳1歳0歳なので私自身もあまり想像できませんが、例えば子どもたちがもう少し大きくなっても、思春期やおとなになっても、困ったことがあれば話してほしいなと思います。それが性にまつわる話でも!
そのために、子どもの思いを受け止めることを意識しています。もちろん仕事、家事、育児…と余裕のないときももちろんありますが、できる限り心がけています。してほしいことがあれば応える、聞いてほしいことがあれば耳を傾ける、質問されれば誠実に答える…こういった日々の積み重ねを大切にして、子どもとの信頼関係を築いていけたらと思っています。
具体的な声かけのポイント
肯定的に受け止める
まず大事なのが、質問を肯定的に受け止めるということ。「聞いてよかった」「また何かわからないことがあったら聞こう」と思ってもらえるようにすることが大切です。性にまつわる質問をされたときにドキッとしてしまっても、ここでひと呼吸…こんなふうに答えてみてはどうでしょう。
❁いい質問だね(大切な質問だね)
❁よく知ってるね(よく気付いたね)
❁聞いてくれてありがとう
また、一方的なやり取りにならないように、子どもと対話を重ねるのもポイントです。「どうして知りたいと思ったの?」「それってどんなことだと思う?」と子どもの思いを聞くことで、子どもの質問の意図が明確になります。そうすると、その理由に合わせて答えてあげることができます。
答えにくいこともあるかと思いますが、そんなときは「どうして赤ちゃんがお腹にやってくるか知りたかったんだね」というように、オウム返しをするだけでも大丈夫です。「わからないから一緒に調べてみる?」と正直に伝えてみてもいいですね。
タブー感を与えない
特に気をつけてほしいのが、性ついての話にタブー感を与えないようにすることです。子どもだからまだわからないと誤魔化したり、非科学的なことを伝えてはぐらかしたりしないこと。また、「そんなこと知らなくていい!」と否定的な言動は避けてほしいと思います。
嘘を教えたり、誤魔化したり、怒ったり、無視したり…そういった大人の言動は、子どもに聞いてはいけないことだった!と暗黙のメッセージとして伝わってしまいます。
子どもからの質問は、ある日突然ということが多いようです。心構えができていないままだと余計にうまく答えられそうにない…と思うかもしれません。事前にある程度こう答えようかなとシミュレーションものよいと思います。
ただ、上手く答えられなかったり、詳しく説明できなかったとしても大丈夫です。先ほどのポイントにもあるように、その質問はしてもいいんだよと肯定的に受け止める言葉をかけてあげられるといいですね♪
子どもが知りたいと思うタイミングで
私も4歳の長男に月経について説明したことがあります。三男を出産後に月経が再開したときに布団に経血が着いてしまい洗濯しようとしているところを長男に気づかれました。「なんでママ血が出てるの?」と聞かれたので、「どうして血が出るのかわかる絵本があるから読んでみる?」と試しに聞いてみたところ、うん!と興味を示したので一緒に読んだことを覚えています。
どんなことにもいえるかもれませんが、性について伝えるときは、子どもが知りたい!と思ったときが、いちばんの伝えどきなのかなと思います。子どもに聞く意思があることをしっかり確認するのも大事ですね。
まとめ
性にまつわる質問をされたときに、どう答えるか…まずは、大人が自分自身の性に対する考えやイメージを見つめ直し、子どもたちに何を伝えたいかじっくり自分と向き合うことが大切だと思っています。
子どもから質問をされたときが、自分の性に対する価値観を見つめ直すきっかけになるのではないでしょうか。子どもたちが自分らしく幸せに生きていくために、どんなことを伝えていきたいか…私もしっかり考えたいなと思います。